イスラエル

覆面芸術家バンクシーが手掛けた、「世界一眺めの悪いホテル」

こんにちは。

みなさんは覆面芸術家のバンクシーをご存知でしょうか?

バンクシーといえば、最近ではオークションで自身の絵が1億5千万円で落札された直後に額縁に仕掛けられていたシュレッダーで作品を切り刻んだことでも有名になりましたよね。

また、日本でも次々とバンクシーの作品と類似するものが発見されており、連日ニュースを賑わせています。

そんな何かと話題のバンクシーによって手掛けられた、世界一眺めの悪いホテルがパレスチナ自治区内の都市ベツレヘムにあるんです。

そこで今回はこのホテルについて書いていきたいと思います。

覆面芸術家バンクシーって?

バンクシーのアート

バンクシーはイギリスのロンドンを中心に活動する覆面芸術家で、その名の通り自身の詳細は明らかにされていません。

メトロポリタン美術館や大英博物館など世界的に有名な美術館に自身の作品を無許可で陳列し、数日間気づかれなかったことでも話題になり、こうしたパフォーマンスから芸術テロリストと言われることも。

そんなバンクシーは街中の壁に政治色の強い社会を風刺した作品をたくさん残しており、今回ご紹介する「世界一眺めの悪いホテル」があるベツレヘムの街にもたくさんのバンクシーのストリートアートがあります。

世界一眺めの悪いホテルがある、ベツレヘムの街とは?

ホテルのご紹介の前に、ベツレヘムの街を簡単にご紹介します。

というのも、バンクシーの作品は社会風刺的な一面が強く、このホテルが建てられた背景には、この街の現状が深く関わっているのです。

イスラエルとパレスチナ

パレスチナ自治政府とは、国連に認められた国家ではなく、現状はイスラエルの中の一部地域です。

第2次世界大戦以後、ユダヤ人がイスラエルという国を建国し、もともとそこに住んでいたパレスチナ人は追いやられてしまいました。

そんなイスラエルの中の一部地域が、今はパレスチナ自治区とされており、そこにたくさんのパレスチナ人が住んでいます。

そんな歴史もあり、イスラエルとパレスチナの関係性は悪く、イスラエル>パレスチナというパワーバランスになっています。

ベツレヘムにある分離壁

そんな歴史のあるパレスチナ自治区の1都市であるベツレヘムという街には、イスラエルとパレスチナ自治区を隔てる分離壁というものが存在します。

この分離壁はイスラエル側が表面上は自爆テロ防止のためにパレスチナを隔てるために建てた壁とされており、これによってパレスチナ人の生活は大きく分断されてしまったのです。

行動の自由が大きく制限され、壁の中で監視されているという現状がこの分離壁の中にはあるのです。

分離壁にある無数の落書き

そんな分離壁には無数の落書きが描かれています。

この写真ではたくさんの平和を願う落書きが描かれています。

中には日本語の「平和」という文字も。

この落書きでは、メッシ?っぽいサッカー選手によってイスラエルが破壊されている様子が描かれています。

平和を望む声がある一方で、イスラエルに対する恨みを持つ人ももちろんいるようです。

分離壁にはパレスチナに住む人々の様々な想いが形になって現れています。

バンクシーの「世界一眺めの悪いホテル」とは?

そんなこの街の現状を風刺したのが、「世界一眺めの悪いホテル」です。

全9室ある部屋の全てが分離壁に面しており、部屋の窓からは壁のせいで何も見えないようになっています。
これはイスラエル側の不当な分離壁建設に対する抗議と取ることができます。

そして分離壁は建設当初は世界中で話題になりましたが、時が経つにつれて世間の関心は薄れていきました。
そんな状況で、バンクシーがこのホテルを手がけたことによって、世界中から再び関心を集めることになったのです。

また、この地域の多数のバンクシー作品が世界中から観光客を集める役割も果たしているのです。

世界一眺めの悪いホテル 概要

ホテル名 The walled off hotel

部屋数 9室

価格帯 30ドル〜965ドル

ホテル内には多数のバンクシー作品が飾られており、ベツレヘムに訪れる際にはぜひとも泊まるベきホテルです。

The walled off hotelはBooking.comにて予約することができますので是非どうぞ。

バンクシーが手がける、「世界一眺めの悪いホテル」まとめ

イスラエルとパレスチナ、その歴史から両者の関係はお世辞にもいいとは言えません。

そうした関係性の中で、国際的に不当とも言える壁が建設されたりと、解決の糸口は見えてこないのが現状です。

そうした地域において、バンクシーはこの「世界一眺めの悪いホテル」によって、再びこの地域の注目を集めました。

彼は「暴力ではなく、芸術によって薄れていた世間の関心を再び集めてみせた」のです。

もし、イスラエルやパレスチナに行くことがあれば、ぜひ泊まってみてはいかがでしょう。